しのぶ
第1章 1・光への生還
「楽しんでなど――あっ、く!」
小姓との秘め事に使った品でそこへ滑りを足してやると、元康は指を一気に三本まで増やす。息が詰まり体を震わせる志信だが、後孔は拒むどころか簡単に指を飲み込んだ。
「元康様、どうか、堪忍を……このような、ああっ、いけません……!」
「敵相手に股を開く癖に、俺は拒むのか。志信はいつもそうだ。俺がどういう想いでお前をそばに置いているか知っていて、すり抜けていくんだから」
元康は、今指を突き入れている志信の後孔の味を知らない。元康が求めても、この媚びない忍びは、何かと理由をつけてはぐらかし続けていたのだ。元康はそれを高潔なのだと思い許してきたが、初対面で正体不明の男を受け入れたとあれば、話は別だった。
「それはっ、敵相手は……仕事だからです! 色で敵を落とすのは、忍びの術。元康様も、知らない訳ではないでしょう!」
「仕事なら誰とでも寝るのか。ならば仕事だ、志信。小姓の代わりに、俺を満足させろ」
元康は寝巻きを寛げ、逃げられないよう押さえつけながら志信の口に自身をねじ込む。