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しのぶ

第1章 1・光への生還

 
 先走りに濡れた志信自身が、元康と絡み合い水音を立てる。乾く事なく溢れる愛液に、元康の下半身は確かに汚されていた。

「元康様っ……」

 志信は縋るように強く元康へ抱きつくと、びくんと体を震わせ吐精する。余韻に浸り汗ばむ背に、元康は腕を回した。

「すまなかった、志信」

 元康は自身を、志信の両腿に挟む。そしてまるで挿入しているように、腰を動かし始めた。

「あっ、あ……元康様、まだ、んあぁっ!」

 後孔でないと言えども、突かれれば達したばかりの一物や袋に熱が擦れる。足を広げればその責め苦から解放されると分かっているのに、全身に走る衝撃は志信を硬直させ、過剰な快楽に閉じ込めた。

 擬似的な交わりは、もどかしく元康を開放へと導く。幸か不幸か、そのもどかしさは、元康だけでなく志信を再び絶頂へ連れていくだけの時間を与えていた。

「はあっ……元康、さまぁ……!」

「しの、あ、くっ……!」

 元康が達したのと同時に、志信も再び絶頂を迎え白濁を吐き出す。耐え切れず元康の胸に倒れた志信の心臓は、元康に容易く伝わる程激しく鼓動を打っていた。
 

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