しのぶ
第3章 3・嘘つきの顔
「待て、だったらなぜ今、こうして抱かれようとするんだ」
「……今ここで、私は心全てをあなたに預けます」
深く語るつもりはないと言わんばかりに、志信は元康自身を喉の奥までくわえ込む。元康も与えられる快感に思考を奪われ、これ以上の言葉が出なかった。
望んでいた肌の触れ合いに、奥の奥まで熱が上がる。志信は元康に跨がったまま、後孔へ受け入れようと腰を上げた。
「んっ……」
先に当たるだけで、互いに痺れるような快楽が襲う。そのまま達してしまうのを防ごうと、志信は緩慢と腰を下ろした。
「は、あぁっ……!」
だがゆっくりな分、意識は余計に結合部へと向かってしまう。徐々に奥を開かれる感覚に、志信の背筋は粟立つ。また元康も、望み続けた感触に思考が擦り切れていた。自らを包む熱の感触に耐えきれず、志信の腰を掴むと強引に落とす。
「っ、あぁーっ!」
一気に突かれた快楽は、志信を一瞬で極楽に連れていく。白濁が元康の腹に散り、志信もくたりと元康に倒れ込んだ。
「しの……っ」
元康が腰を動かすと、志信は体を起こす事も出来ずすがりつく。甘い吐息が近く、それが元康をさらに興奮させた。