しのぶ
第4章 4・暗躍
志信はそれを聞くと口角を上げ、官能を刺激するように助六の背をなぞる。
「ならば……私も安心して身を預けられます。どうぞ、あなたの望むままに」
一切の抵抗を止めた志信に、助六は溜まった欲を乱暴に打ち込む。志信の喘ぎは叫びにも近く、荒々しい交わりに欲の色を添えた。
日が昇り明るくなると、ようやく助六は志信から文へと意識を変える。差出人は、草野六兵衛。助六には馴染みのない名前だった。
「この文が、どう贈り物なんだ……?」
名もない人間が何を出来るのかと疑いながら、助六はその文を読む。先程の文と違い、それはすぐに読み終えた。
「一揆、だと!? おい志信、この男は何者なんだ」
助六はうつ伏せになって横たわる志信に訊ねるが、返事はない。不思議に思い覗いてみると、志信は青い顔をして息を整えていた。
「大丈夫か? 具合が悪そうだが」
「あ……いえ、申し訳ありません。その、あまりに激しいといいますか……あ、あのように愛されたのは初めてでしたので、体が追いついていなくて」
「愛い奴だな。まあ小川家は名前の通り小身だ、大した奴もおるまい。俺の逸物に体が驚くのも仕方ないな」