しのぶ
第4章 4・暗躍
「毛利の力を労せずして削れるな……しかし、どうしてそれをこちらに知らせる?」
「ここからが本題です。草野は慎重に準備していましたが、やはり身を潜めながらの策は難しく、少し金子が足りないのです。支援さえ受けられれば、小川家を確実に潰せるのですが。そこであなたに、少々融通していただけないかと」
もし小川家を潰す事が出来れば、その勲功は大きい。志信の提案を断る理由は、どこにも見当たらなかった。
「もし、失敗したらどうする?」
「その時は、草野が腹を切ればいいだけです。あなたは何も関わっていない、計画も実行も、草野が行うのですから」
「……まあ、お前の好きにしてやると約束したからな。分かった、極秘に金子を調達してやろう。どうせこの先毛利は没落するだけだ、何も恐れる必要はない」
助六は二つ返事で、志信を再び組み敷く。志信が戸惑いの目を向けると、情欲を瞳に滲ませながら志信の首筋を舐めた。
「今から俺とお前は秘密を分かち合う仲だ。切れぬように、絆を結んでおかねばな」
散々致したにも関わらず、助六の欲は止まる事を知らない。助六はその日戦を忘れ、目の前の志信に疑問を抱く事すら忘れ、飽きる事なく色事に耽った。