衝動
第7章 〜メール〜
「あーやっと終わった!」
講義が終わり、昼休みに入った栞は、昼食を食べるために大学の近くのカフェへ行った。そのカフェは、飲み物以外にも、サンドイッチやパンケーキなどがあり、安い割に美味しいので、昼食時にはよく足を運んでいた。
端っこや壁側が好きな栞は、店内の一番奥の席に座り、携帯をバッグから取り出した。
(珍しい…自分からメール寄越すなんて…)
基本的に、尋也からメールが来ることはなく、基本的に栞からだった。最近はSNSアプリの方が主流なのかもしれないが、携帯を通して会話をする回数自体が少ないため、だいたいメールで済ませる。
『件名:栞さん栞さん
会いたい。』
まさかこんなメールが送られてくるとは思いもしなかった。メールが来ることさえ珍しいのに…何かあったのだろうか。心配になるほど驚いた。自然と頬が緩む。周りから見たら変な人だろう。栞は返信のメールを打ち始めた。
「件名:尋也さんへ
では今日はお部屋にお邪魔しますね。」
送信ボタンを押し、携帯をバッグに戻した。そういえば、まだ何も注文していなかった。顔馴染みのマスターがこちらを向いて微笑んでいる。某ファストフード店に立っているあのおじさんに、どことなく似ているような気がする。
そんなことはさておき、栞はコーヒーとサンドイッチを注文して、メールの返信を待った。