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衝動
第7章 〜メール〜
結局返信は来なかった。多分、寝ているのだろう。
栞は電車に揺られながらそんなことを考えていた。
駅からアパートまでは、徒歩5分くらいで着く。階段を上がり、部屋の鍵を開け中に入った。
合鍵は渡してあるが、基本的にお互いの部屋に合鍵で入ることはない。
「ただいま」
誰もいない部屋に向かって呟いた。
服を脱ぎ、シャワーを浴びて、パジャマに着替え、ドライヤーで軽く髪を乾かした。栞の場合、シャワーを浴びるというと、体から髪まで全て洗うことも含まれる。
やはりパジャマというものは楽だ。栞はパジャマが好きだった。これから尋也の部屋に行くのにも関わらず、パジャマを選んで着た自分が、ちょっと可笑しかった。
「携帯と財布だけでいいかな〜」
適当なサンダルを履いて、栞は尋也の部屋に向かった。
「あ…」
そういえば、下着を付けるのを忘れた。まぁいいや。
そういうところは大雑把である。そういうところ「も」かもしれない。
栞は早足で歩き出した。
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