![](/image/skin/separater27.gif)
衝動
第8章 〜夜〜
栞は、尋也の部屋のドアの前にいた。
「合鍵忘れた…」
合鍵はほとんど使ったことがないため、使ってみたかったが、忘れたのではしょうがない。チャイムを鳴らし、尋也を待つ。
数秒後、鍵を開ける音がして、ドアが開いた。
「こんばんは」
言ってみてから、可愛げのない挨拶だと思った。シャワーの後で、少し頭がぼーっとして、笑顔を忘れた。
『こんばんは。』
尋也は満面の笑みである。眩しい。
尋也の部屋は相変わらず物が多い。整頓はされているが、どうしてこんなに物が多いのだろうか。
栞の部屋も、物が少ない方ではないが、ある物といったら本やまんがなどである。
『顔が眠そうだよ…』
「王子様のキスで覚ましてください…」
『ちゅっ…』
「…!?」
冗談で言ったのだが、本当にされてしまった。
本当に目が覚めた気がする。
『…目覚めた?』
「覚めたどころの話じゃないです。」
『…ちゅー』
「…っ…う…」
今日は妙に尋也からしてくる日である。どうしたのだろうか。
『……してもいい?』
「…はい?」
なかなか唐突である。部屋に来てまだ何分も経っていないのに。
![](/image/skin/separater27.gif)