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衝動

第4章 〜彼との出会い〜

作戦が成功した次の日、私は散歩のためにマンションを出た。小学生の下校時刻のあとすれ違うのは、だいたいおじいちゃんおばあちゃんなので、この時間は安全である。

昨日のようにマンションの裏へ行き、猫と遊んだ。ここの猫は、近くの民家に住むおばあちゃんが餌をくれているせいか人懐こく、あまり野良猫っぽくなかった。

「しーらすっ」

『にゃー』

ベンチに座って猫を抱き、頭を撫でた。西日が差す、気持ちの良い時刻だった。

「じゃあまたね」

塾の日以外はあまり遅くなると怒られるので、早めに帰ることにする。名残惜しさに何度も振り向いて、猫に向かって手を振った。いつかあの可愛い手を振ってくれるようになってほしいと、いつも願った。

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