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最後の恋は甘めの味で

第10章 戻りたくない

雨の日、それで思い浮かぶのは上條くんと相合傘をしたあの日。


そこでやっとこの現状を理解する。


この半べその子はきっと上條くんのファンだ。


っていうかもう好きなのだろう。


それなのに、あの日、私と思しき人物と上條くんが相合傘をしていた。


それを目撃したこの子にとってはショック以外の何物でもなかったはずだ。


それで隣のこの子は親友から相談を受け、わざわざ私に物申しにきたってわけだ。


自分で言いにくればいいものをなんてめんどくさい女。


「ちょっと、聞いてます?相模さん」


その口調はもう既にその相合傘の相手が私と確信しているものだった。


だったらこんな回りくどいことせずにはっきりと言えばいいのに。

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