テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第10章 戻りたくない

女って生き物は本当になんて陰険なんだろう。


「聞いてるわ。だったらなに?別にあの日は私傘がなくて」

「ひどい!私、相模さんのこと密かに尊敬してたのに......上司と部下って関係利用してそんな.......」

「真由......」


真由と呼ばれた女はしくしくと涙を流す。



......はぁ?



ごめんなさい、などという気持ちが全くもって湧いてこない。


人の話も聞かず、この女は一体何を言っているのか。


尊敬していたなど知ったこっちゃないし、上司と部下という関係を利用した覚えもない。


私が上條くんを誑かした、みたいに言ってるがむしろ逆だ。


言いたいことはごまんとあるのにどうしてか口が動かない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ