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最後の恋は甘めの味で

第12章 一番の笑顔

今のこの状況で素直にあなたを待っていたの、と言えるはずもなく。


「残業よ」

「嘘だ」


スパッと瞬殺。



じゃあ聞くな



と思うも口には出せない。


「暁さんってすぐ嘘つきますよね」

「.......ずっと思ってたんだけどあなたってすぐ見抜くわよね。嘘。私が分かり易いの?」

「大抵の人は分かりますけど、暁さんは特に分かりますよ」



癖でもあるのかしら



と思っていると上條くんが口を開く。


「暁さんのことはよく見てるから」


しらーっと普通の会話のように言う上條くん。



え......?ストーカー?



とか思うほど自分の乙女心も腐っていないので普通に照れる。


「え.....?えー.....」


もじもじと気持ち悪く体を動かす。


「......嘘ですよ。いや、あながち間違ってないけど。おかげであなたの癖が分かったし」


私は見逃さなかったぞ。


上條氏。


あんたが一瞬鳥肌を立てたことを。


いや、確かに気持ち悪かったと自分でも思うけども....



本当に私のこと好きなのよね.....?



疑いの目を上條くんに向ける。


そんなことは気にもせず上條くんは頭から離したコーヒーを飲み始めた。

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