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最後の恋は甘めの味で

第12章 一番の笑顔

誰かを好きになった瞬間、世界は違って見えるはずだ。


その人のどんなところも可愛く見えたりかっこよく見えたりするもんじゃないのだろうか。


私は少なくともそうだった......気がする。


まあ、この男の場合、好きであろうが無かろうが万人がかっこいいと思うのだろうけど。


私も頭からコーヒーを離し、飲み始める。


「.......癖ってなによ」


再度、上條くんの言葉を思い出し気になり聞いてみる。


「言ったら直そうと心掛けるでしょ?暁さん」

「当たり前じゃない。それってつまり私の弱点ってわけだし」

「それなんですよね。暁さんの可愛くないところ」


自分の事を可愛いと思ったことはないが、こうもズバリと言われると流石に傷付く。


本当にこの男は失礼の極みだ。


「.......弱点ある方が可愛いですよ」


ーーーガコン


ぼそっと何かを呟いたのは分かったが、上條くんがごみ箱に投げた空になった缶のせいで


その全てを聞き取ることはできなかった。

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