テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第3章 居酒屋

上條くんは肩膝を立てしゃがみ、私に視線を合わせる。



その瞳は今まで見たこともない野獣の瞳になっていた。




「顔、真っ赤っすよ」

「っ!お、お酒のせいよ!」




完全に抜けきったわけではないけれど確実に今の出来事で半分以上のお酒が抜けていた。



今、さっき、私、上條くんとなにした?!




私の混乱する頭をよそに上條くんはじりじりと私ににじり寄る。



その動きに合わせ後ろに下がればもちろん、壁に当たるわけで。




上條くんはトンッと私の顔の横に片手を置き、私の逃げ道を完全に閉ざす。



そうか

これが噂の壁どん



そんなことを陽気に思う。


思っていなければパニックになりそうなのだ。


「.......あんた、本当いい加減にしろよ」



その声は驚くほど低く、体が痺れた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ