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最後の恋は甘めの味で

第21章 鳴る携帯

横からそんなマスターに彼と同じなのと不機嫌そうな声。


見れば、飲み干したカシスオレンジについていたさくらんぼのヘタで遊ぶ、頬を膨らませた涼がいた。


「怒るなよ。ジョークだろ」

「あのねぇ、私は友人の滅多とない優しい顔見て喜んじゃいけないの?」



友人って....

もう許す気満々じゃねぇか



口が滑ったなのか故意なのか。


どちらかは分からないが、嬉しかったから口には出さないでおくことにした。


「でも、本当に見たいわ。真也にそんな顔させる女性」

「そんなにだったか?俺の顔」

「そりゃあもうこんなよ。こんな」


俺の顔真似だろうか。


仏のように手を合わせ、安らかに目を瞑る。


さすがにオーバーだろうけど、これに近いものがあったんだと思うとどれだけ自分が暁さんに惚れているかが分かる。


「それで?ビンタは?」



この女、あれ本気で言ってたのか.....



俺の心を察すように当たり前、と涼が口に出した。

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