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最後の恋は甘めの味で

第21章 鳴る携帯

俺は一息つき、マティーニのグラスを持つ。


「ビンタはされてないな。俺、紳士だし」

「どこがよ」


はんっと鼻で笑い、涼も来たマティーニを持った。


目を合わせ、カチンと音を鳴らしてグラスを合わせた。


「いい男フラれ記念ねー」


とことん嫌味な女だ。


ぐいっとお互い一飲みで飲めば、マスターが目を丸くしたのが分かった。


俺も涼もそんじゃそこらの酒強いって輩とは訳が違うので問題ない。


「さて、そろそろあのホテルのあとからなにがあったのか教えてくれてもいいんじゃない?」


涼の目が獲物を捕らえるようにギラりと光る。


そんな鋭く刺さずとも逃げる気はない。


「高級ホテルに置いてった次の日、当たり前のように上司は怒ってたよ」


思い出してククと笑う。

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