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最後の恋は甘めの味で

第23章 会いに行く

頭を上げれない私の耳に呆れたように息を吐く音が聞こえた。


足音は入口から、徐々に私に近付き、ベッドに座る音。


「..........暁さん、とりあえず、お粥と薬、用意したんで顔上げてくれませんか」


優しく話し掛けられれば上がる顔。


見えたのは浮かんだものよりも遥かに完璧な上條くんの顔だった。


つまりここは上條くんの部屋で上條くんがいつも寝ているベッド。


そう思うだけで恥ずかしさと情けなさが出てきた。


穴があったら入りたい気分だ。


「昨日のこと、どこまで覚えてます?」

「........少なくとも、ここにいる理由は分からない」

「でしょうね」


冷ますためだろうか、上條くんはぐるぐるとお粥をスプーンでかき混ぜている。


長くて細い指.....



あの指で私の.......



.....もう....さっきから一体私はどうしたって言うんだろう。


二日酔いのせいで頭がおかしくなったんだ。


きっと。

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