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最後の恋は甘めの味で

第23章 会いに行く

上條くんは手を止めたかと思うと、一口サイズのお粥を掬い、息を吹きかけもう一度冷ました。


そして、その掬ったスプーンを私に向けた。


これは、つまり......


「暁さん、あーん」


真顔。


あーんってそんな真顔でするものなのか。


なんだか変な威圧感を感じ、体を倒して、それを口にする。


「どうですか?」


程よい熱感と二日酔いの体に染みる優しい味。


この男、こんなところまで完璧とは。


よく味わい、喉に流し込む。


「........美味しい、です」


遠慮気味に言えば、少し上條くんの顔も綻んだ気がした。

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