テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第23章 会いに行く

この際だ。


憎まれ口の一つや二つ叩いてもどうってこと無いだろう。


私の頭の中で今朝のことは過去のことに。


優しく介抱してくれた男性はもういなくなっていた。


「悪かったわね。別に上條くんに遠慮することもないかなーっと思って?」


わざと刺々しく言う私の大人気なさよ。


でもこの小憎たらしい部下にはこれくらいがちょうどいい。


「行く先すら教えてくれないなんて、ありえない」

「.......静岡ですよ」


突然の返答。


戸惑い、言葉が続かない。



静岡といえば、なにがあったっけ?



........ぱっと言われて思い付くものがない私の乏しい頭。


「ちなみに観光じゃないので」


私の勘違いを正すように上條くんが言った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ