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最後の恋は甘めの味で

第4章 あの人

「あなたの後輩くんは現在大手企業の社長さんと対談中らしいわよ」


「は?!」



あまりに衝撃的な事実過ぎて箸を落としそうになる。



「待って.....私、それ聞いてない」

「あー、暁、朝ボーッとしてたもんね。部長が朝礼で上條くん横に並べて大々的に発表してたじゃない。拍手喝采雨嵐。泣く女子とかもいてそりゃあもう大変だったわよ」




情景が目に浮かぶのが腹立たしい。



「まあ、でも彼はそれどころじゃないって感じだったけど」

「へ?」



佳世さんはずいっと私に顔を近付け





「暁をずーーーっと憂い帯びた目で見てたわよ」






ふふと語尾につけられたその言葉を聞き、今度こそ箸を落とす。



箸を拾い、冷静を装いながら言葉を返す。



「う、嘘よね?っていうか憂いって.....はは.....」

「私の勘違いだったかもしれないしねー」



佳世はニヤニヤとからかうようにずっと笑っていた。





まさか......

まさかね......




”明日から容赦しませんよ?”




脳裏にその言葉が浮かんだが、すぐに私は消し去った。

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