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最後の恋は甘めの味で

第30章 もしもの話

歩き続ければ見えてくる我が社。


その玄関を行く見覚えのある後ろ姿。


飛び付きたい衝動を抑え、少し早足でその背に追いつく。


ぽんと叩けば振り向く、私の愛しい人。


「おはよう。上條くん」


しっかりと上司として挨拶をした。


真也はそのことに対して驚いたような表情をする。



え?何その顔....



真也が何か言おうと口を開こうとした時、私の目に映る立ち止まる私達を訝しげに見る社内の人。


ハッとし、私は急いで真也の背を押し部署へと足を向けた。


「あ、あんなところで立ち止まってたら邪魔でしょう?」


そんな先輩風をわざと吹かし、後ろを見ればもう人はいなかった。

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