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最後の恋は甘めの味で

第5章 最悪の日

と、ふと気になったのは上條くんのこと。



目を動かし探してみるもやはりその姿はなかった。



大手企業の社長さんと対談中とは聞いているが、果たして入社2年目の彼にそんな大きな接待ができるのだろうか。


確かに、上條くんの仕事ぶりはあたかも元からいたような感じではあるけれど。


「上條くん、大丈夫かしら?」



そう思っているのは私だけでないようでそんな言葉が耳に入ってくる。



私はPCに集中している素振りを見せながらそっとその話を聞くことにした。


「大丈夫でしょ。あの上條くんよ?」

「でも入社2年目のまだまだ若手よ?部長の気持ちが分かんないわー」

「いや、私は分かるね」


にやっと不敵に笑い、その子は声をよりひそめた。


「どういうことよ」



話している相手も釣られるように声をひそめる。


「その社長っていうのがさ......女らしいのよねぇ」


「なにそれ......部長かんっぺきに確信犯じゃない....」



あー、なるほど


と私も合点がいく。




「それもそのはずよ。今回のこれ、上手くいけば会社の立場変わるとまで言われてるんだから」


「大袈裟。なんか部長にはよりがっかりしたわ」



彼女がはぁと息を吐きPCに向き直ったことにより、話していた彼女も仕事に集中し始めた。

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