
最後の恋は甘めの味で
第5章 最悪の日
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仕事が終わり、帰る支度をしていたところを佳世がそうはさせんと言うように私の手を引っ張り自販機前に連れ出す。
「これで目、冷やしな。それは絶対腫れるよ.....って言うかもう若干腫れてるけど」
「ありがとう」
佳世が差し出してくれた冷たい缶コーヒーを目もとに当てる。
自販機置き場にある長椅子に座ると、佳世も私の横に腰掛けた。
プシュと音がしたので横を見ると腰に手を当て元気の源になるジュースを飲む佳世の姿が見えて少し笑ってしまった。
飲み終え、ぷはぁと息を吐いた佳世が口を開く。
「それで?言う気はあるの?」
佳世は、私が本当に悩んでいるとき悩みを打ち明けることを強要しない。
本当にお姉さん気質だなぁ
密かにそう思う。
「辛いなら....」
「いいえ。大丈夫よ。聞いてくれる?」
ニコッと微笑んだ私を見て佳世も安心したらしく、えぇと笑みを返してくれた。
