最後の恋は甘めの味で
第32章 初めての..... 前編
「.......ごめんなさい」
「なにがですか」
「私......その.....」
「いいですよ。何となく理由は分かっているので」
暁さんの強ばる顔。
緊張ももちろんだろうけどその後ろに垣間見えた不安。
その不安の正体を俺は感づいていた。
暁さんでも着れそうなスウェットを出し、暁さんに差し出す。
「まずはそれに着替えて布団入りましょう。話はそれからです。頭とか洗いたかったら洗ってくれればいいですし、体も」
「真也......」
呟くその声はあまりにか細く、弱々しいものだった。
俺はそんな暁さんの頭を優しく撫でる。
「ほら、早くしないと折角気が変わったのに、今押し倒しちゃいますよ」
その言葉にギョッとし、暁さんは脱衣所へ入っていった。