テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第32章 初めての..... 前編

じーーーっと濡れることも気にせず動かずにその女は猫たちを見ていた。


ダンボールに入っているとこを見るとどうやら捨て猫らしく


その数は傘の間から見えるだけでざっと4匹ほど。


全て小さく子猫と思わせる。


飼うか飼わないか悩んでいるのか女の横顔は真剣そのもの。


その真剣さは俺に気付かないほど。



風邪、引かねーのかな.....



と思えど、面倒ごとには首を突っ込まない主義だ。


そのまま、避けて通り過ぎようとしたとき、見える走る車。


そして水溜り。



おいおい......

まさか、そのスピードで水溜りの上を通る気か?



女のいる位置と水溜りの位置を考えると


女は車が跳ねると思われる水溜りの水を頭から被ることに。


結果、びしょ濡れ。



今もびしょ濡れだし、別に.....



と思えど、見えてる結末を目の前で見過ごすわけにもいかない。


俺は、女の後ろに立ち、傘を車側に向けた。


その車はスピードを緩めることなくそのまま








バッシャーン!








けたたましい音とともにこちら側に水を跳ねさせ、通り過ぎた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ