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最後の恋は甘めの味で

第32章 初めての..... 前編

傘のおかげでその水はほぼかかることなく


どちらかと言えば上からの雨の方が俺を濡らした。


傘をまた自分の上に持っていけば遠慮気味にかけられる言葉。


「あ、あのー......」


流石に音で気付いたらしい。


制服にかかった雨を少し払ってから後ろを向く。


その瞬間下げられる頭。


その勢いの良さに一瞬怯む俺。


「ありがとうございました。水、防いでくれたんですよね?」


そんな言葉の間にも濡れる女。


なんだか見ていられなくてつい自分の傘に入れてしまった。


また勢い良く頭を上げるもんだからぶつかりそうになる。


俺の顔を見た女が一瞬驚いたような表情をしたことが分かった。



?なんだ?



もしかして知り合いなのかとよく見るが見覚えはない。


こういう時は聞いてみるのが一番いい。


「なぁ、もしかして俺と知り合いだったりする?」


女はぇと小さく漏らし困惑の様子。


どうやら俺だけが知らないでいるらしい。

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