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最後の恋は甘めの味で

第32章 初めての..... 前編

申し訳ないと思うも体の関係を持っていても


俺は顔も名前も覚えないような男だ。


そんな俺が人のことを覚えているわけがない。


「ごめんな。全然分からん」

「いえいえ。大丈夫です」


女は俺ににこりと笑いかけ、再度しゃがみこみ猫たちを見始めた。


この子、一体いつまで見ているつもりなんだろう。


飽きないのだろうか。


まあ、女の嬉しそうな顔を見る限り飽きることはないのだろうけど。


ところで俺はずっとここにいなきゃいけないのか?



どいたら女はずぶ濡れ......



俺は傘と女を交互に見てから大きく息を吐いた。


「はい、これ、あげる」


傘を女に差し出せば、一瞬分からなかったようで止まったけど


すぐ理解したようで激しく首を横に振った。

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