最後の恋は甘めの味で
第32章 初めての..... 前編
「い、いいです!そんな....」
「いいから。どうせ、そっちのは猫たちにやるんだろ?」
「そ、そうですけど。流石にそこまでされる義理は.....」
「でも、知り合いなんだろ?」
「え?!あ、でも!そんなに深い関わりは!」
ぶんぶんぶんぶん激しくそんなに首を振って
頭がふらふらにならないのだろうか。
俺は女の手を取り、半ば強引に傘の柄を握らした。
「いいから。女濡らすとか俺のポリシーに反するし。返さなくていいし」
女はまだなにか言いたげだったけど
俺は鞄を頭に乗せ、さっさとその場から立ち去った。
まさか翌日、意外な場所で傘を返されることも知らぬまま