最後の恋は甘めの味で
第32章 初めての..... 前編
翌日。
学校に着いた俺の目に映った驚きの光景。
昨日、ずぶ濡れ女に渡したはずの傘。
クラスメイトの女子が持ち、俺に差し出しているではないか。
彼女はどこか気まずそうで......
「......もしかして、昨日の、猫の.....?」
彼女は遠慮気味に頷いた。
昨日の女との共通点を探すもあまりに無さすぎる。
あの時の女は髪をおろしてたし眼鏡もかけていなかった。
髪をおさげで三編みをしていて眼鏡をかけている彼女とは似てもにつかない。
制服だって......
制服?
俺、見たか?服装なんて.....
遡るも見た記憶はない。
髪を下ろし、眼鏡を取るだけで女とはあんなに化けるものなのか。
怖いと思うと同時に、今の状態の女がもったいないとも思った。
言いはしないけれど。