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最後の恋は甘めの味で

第37章 終わった過去、変わった人

前を向けば立花さんが可笑しそうに笑っていた。


疑問に思い、それでいて俺はなんだか面白くない。


「........なに」

「あ、ごめんなさい。いえ、あの上條くんが悩んでるなーって思いまして」


あのって付くほど立花さんの中で俺は大きい存在だったってわけか。


そのことは少し俺を喜ばせた。


単純な男と我ながら思ってしまう。


そして、意外みたいに言うけど俺だって人間だし悩む事はある。


その上、君を悲しませた原因を作ったのは俺ときた。


悩んでも悩み足りないくらいだ。


「スーツですけど、仕事は?サボリですか?」

「バカ言え。俺の実績さえあれば早退なんて容易いもんなんだよ」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ」



って.....あれ?

なんか俺乗せられてねぇか?



立花さんの顔を見ればにこりと笑いかけられた。


昔の面影、確かにある筈なのに昔みたいな大人しめな感じはもうないようだった。

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