最後の恋は甘めの味で
第37章 終わった過去、変わった人
.*・゚side 暁.゚・*.
息を切らし、走ったのは何年ぶりだろう。
それが愛しい人から逃げるためだなんて夢にも思ってなかったけれど。
気付けば、裏路地に入っていたようで行き止まり。
私は疲れて足を止め、肩で息をする。
すると、後ろからコツンと足音。
結構距離を離したつもりだったのに、もう追い付いたの?
もう、逃げる場所はない。
その足音は私に向かい、徐々に早くなってきている模様。
そこで気付く違和感。
あれ.....?なんだか真也の割には足音が....
がっと腕を捕まれ、後ろを向けば見える見覚えのある、顔。
「貴方、は.....」
「覚えててもらえて、何よりです」
昨日、踊り場で告白をしようとしていたと真也が言ってた年下くん。
険しい顔で私を睨んでいてかなり怒っているらしい。
私は分からず困惑する。
そんな私にますます腹が立ったのか年下くんの私の腕を持つ手により一層力が入った。