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最後の恋は甘めの味で

第7章 事実

俺は生きてきて一度だって女に困ったことはない。


恵まれた容姿のおかげで言い寄る女数知れず。


付き合うって言っても1人じゃなくて2,3人は彼女がいた。


言い寄られればそれなりの接待をするのは当たり前だ。


だから、自由気ままに遊んできた。


答えを言わない俺に涼はつまらなさそうに息を吐く。


「なぁーんだ。つまんない。遂にこの完璧男の心を揺らす者が!って思ったのに」

「なんじゃそりゃ」


でも、俺もそろそろ心が揺れない自分にうんざりしている。


果たして俺を惑わす女が現れることがあるのか.....。


ふと思い浮かんだ女性を奥底に眠らす。


と、今の話の流れを振り返り疑問に思う。


「おい。待て。なんで今の話の流れで俺がいい女見つけたと思った」


恋愛相談をしたわけでもはたまた恋沙汰の話をしたわけでもない。


今の話は部長の座を奪って俺が這い上がればいいってものだったはずだ。


「だって真也、悩んだじゃない」


それがなんだって言うのだろう。


「いつも一番でありたいって願ってるあなたがよ?部長のことを考えるなんて絶対ありえないだろうし、だったら残る選択肢は一つよ。誰か特定の人のためになんらかの事情があってあなたは動けないのよ」

「...........」


涼の分析力は底が知れない。


外れることは必ずと言っていいほどない。


そのおかげで涼が立ち上げたという会社は見る見るうちに大きくなっていった。


質問をされた時、確かに俺はある特定の人を思い浮かべた。


その人を超えることはしてはいけないと思った。


だけど、俺にとってその人は”興味の対象”にしか過ぎない。

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