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最後の恋は甘めの味で

第7章 事実

悲しいことかな。


俺は同じ言葉を暁さんに向かっても発していた。


自分のボキャブラリーのなさにとことん呆れる。


「彼女にも同じ言葉を発していたなんて、彼女が聞いたら呆れるどころかもう関わって欲しくないと思うレベルね」

「お前......言うなよ」

「自分の上司、ってだけで名前も言わないのに言えるわけ無いでしょ。本当は今すぐにでも高級ホテルのその部屋に行って、可哀想なその彼女に事実を教えてあげたいくらいよ」


度がきつめの酒を頼み、着ていたお洒落な服を脱ぐ涼。


その服はきっと抱くと言った男に配慮してのものだったのだろう。


その男は現在、全くその気になれないへっぽこな訳だが。


「っていうか可哀想なのは俺だろ。本番もなしでこの俺の前戯で泣くとか.....あの人一体何様なんだよ」

「ばぁあああか」


もうすでに酔っているのか。


涼は俺を指さして怪訝そうな顔をした。

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