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ディーン×サム

第2章 Amazing Grace

ボビーの伝手で紹介された産婦人科のクリニックで、サムは本格的な検査を受けることになった。

「じゃあ、シャツを脱いで、診察台に乗ってくれる?」

小柄な中年の女医は、不安げな表情のサムを優しく促した。

「大丈夫よ。怖がらないで」

サムは小さく頷くと、医師の指示に従った。

「ちょっと冷たいけど」

医師はサムの腹にジェルを塗り、エコーを当てた。

「ほら、見て」

医師に促され、サムはモニター画面に目をやった。そこには白い、ピーナッツのような塊が映し出されていた。

「分かる?あなたの赤ちゃんよ」

サムの目にみるみる涙が込み上げてきた。自分の腹には確かに赤ん坊がいる。兄と自分の赤ん坊……。途方に暮れる反面、サムは強烈な喜びを感じていた。
産みたい、兄の子供を。神様のとんでもないイタズラでも。
でも、兄はどう思うだろう?兄は弟との間に出来た子など要らないかもしれない。もし兄に嫌われたら……。
サムの胸は不安で押し潰されそうだった。

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