ミルクチョコレート
第1章 先生と秘密の放課後
「ねえ、先生?
私、頑張ってるから…
こ褒美、ほしいな」
ノートを眺めていた先生に、私は上目遣いでそう言った。
「ま、確かに頑張ってるな。
ご褒美って例えば?」
私は勇気を振り絞った。
「先生が私に、キス…とか」
私の心臓は、うるさいくらいにドキドキと飛び跳ねている。
けれど、先生は黙り込んだ。
そして私から目を逸らし、はぁ、とため息をついた。
(こんなこと、言うんじゃなかった。
せっかく毎日先生とふたりきりで勉強できてたのに)
それ以上のことを、私は望んでしまった。
(もう、明日からは来てくれないかな)
そう思いながらもどこかで期待している。
「ねえ、先生、何か言って?」
それでも彼は、口を開こうとしなかった。
私はいたたまれなくなって、席を立った。
「ちょっと、トイレ…」
そう言って教室のドアに向かった私の手首を彼が掴む。
驚いて振り返ると、
私の唇に、突然温かいものが触れた。
「ん…!」