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私は官能小説作家の素材

第3章 再び

「で、でも……原稿終わってないんですよね?やっててください…。すみませんが、少し、ここをお借りします」

「駄目だ、気が散る…。病人をほっとけるわけないだろ」



ケイスケは、苦い表情を浮かべながら私の額に乗ったタオルを何度も洗い直してくれる。


“病人”だから優しいんだ。


「原稿は、明日に回す。まず、お前をどうにか治さないことにはなぁ」


〆切りに間に合ってないのに…。こっちの方が悪い気がしてきた。


「お粥作るから、待ってろ」



優しいなら…


真菜は、ケイスケの紺色のパーカーの裾を引っ張って

「ケイスケ…一緒にいて?」

と、おねだりをした。


すると、ケイスケは顔を紅くしながら

「今日は、素直だな」

と、言った。

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