硝子の挿話
第7章 徒花
下手に外出することを禁止されているティアは、籠の中の小鳥同然だ。
「どうして…私は街に出ては行けないのでしょう……サミア様が言ってました。『上からじゃ真実は何も見えない』って…私の政策は、人々を苦しめていないかしら」
振り返ると、寂しさを讃え揺らいでいた。
「…ティアに危害が及ばないようにだよ」
ティアの前に水姫巫女と呼ばれていた女性が、巡礼の最中に射殺されるという事件があった。
細く尖らせた象牙の先端が、巫女の心臓を打ち抜いていた。―――神子と巫女の違いは、星見に選ばれたか、選ばれなかったかの違いでしかない。
そのせいで神殿側は、星見が選んだ娘であるティアに、過剰ともいえる規則で縛り付けた。
もっともティア自身が、日頃から身体を動かすことが好きで、こっそりと鍛錬を密かに重ねていたり、見つからないように、近場ぐらいなら抜けられる道を知り活用していた。
それでも、あまり距離を出られない。
車を使えば早いが、そうすると護衛が出てきて、大掛かりになってしまう。ただの視察に変わってしまうのが残念だ。
今の時代、神殿の象徴とも言える神子や巫女の存在は、神殿側にとっては盾であり矛だが、王権にとっては邪魔以外なにものでもない。
三宮に存命するそれぞれの神子たちは。
「どうして…私は街に出ては行けないのでしょう……サミア様が言ってました。『上からじゃ真実は何も見えない』って…私の政策は、人々を苦しめていないかしら」
振り返ると、寂しさを讃え揺らいでいた。
「…ティアに危害が及ばないようにだよ」
ティアの前に水姫巫女と呼ばれていた女性が、巡礼の最中に射殺されるという事件があった。
細く尖らせた象牙の先端が、巫女の心臓を打ち抜いていた。―――神子と巫女の違いは、星見に選ばれたか、選ばれなかったかの違いでしかない。
そのせいで神殿側は、星見が選んだ娘であるティアに、過剰ともいえる規則で縛り付けた。
もっともティア自身が、日頃から身体を動かすことが好きで、こっそりと鍛錬を密かに重ねていたり、見つからないように、近場ぐらいなら抜けられる道を知り活用していた。
それでも、あまり距離を出られない。
車を使えば早いが、そうすると護衛が出てきて、大掛かりになってしまう。ただの視察に変わってしまうのが残念だ。
今の時代、神殿の象徴とも言える神子や巫女の存在は、神殿側にとっては盾であり矛だが、王権にとっては邪魔以外なにものでもない。
三宮に存命するそれぞれの神子たちは。