硝子の挿話
第7章 徒花
「本当なら星祭を控えているから、連れ出すには恐いものがあるんだけどな…」
それでも祈りの間でしか、感情を解放出来ないのなら、少しでも紛らわせる形に沿いたい。全身全霊に命を掛けて守ればいいだけだ。
自然との交わりは、ティアの張りつめている神経の緩和をする。王権と神殿との均衡は、日々危うくなる昨今。そのことを警護する存在としてサイティアには、切実な感覚として肌で感じてもいた。
「…どうして人は、人を認められないのでしょう…」
この緑のアーチを潜り終えれば、神殿領域を出る。先に進めば広がる広大な海が見えるだけだ。
「人間は自然と共存できるはずですのに、…どうしてその自然を脅かすのでしょう…」
独り言に呟きかける。雲のない空を見上げた。
緑に透けた光が、全身に降り注ぐ。
「科学とは何なのでしょう…」
黙って聞いているサイティアに問う訳でもなく、やはり独り言に呟いていた。
水耀宮でも独自の科学は発達していたが、人間が持つ飽くなき探究心と、楽になりたい気持ちは尽きることがない。
それでも祈りの間でしか、感情を解放出来ないのなら、少しでも紛らわせる形に沿いたい。全身全霊に命を掛けて守ればいいだけだ。
自然との交わりは、ティアの張りつめている神経の緩和をする。王権と神殿との均衡は、日々危うくなる昨今。そのことを警護する存在としてサイティアには、切実な感覚として肌で感じてもいた。
「…どうして人は、人を認められないのでしょう…」
この緑のアーチを潜り終えれば、神殿領域を出る。先に進めば広がる広大な海が見えるだけだ。
「人間は自然と共存できるはずですのに、…どうしてその自然を脅かすのでしょう…」
独り言に呟きかける。雲のない空を見上げた。
緑に透けた光が、全身に降り注ぐ。
「科学とは何なのでしょう…」
黙って聞いているサイティアに問う訳でもなく、やはり独り言に呟いていた。
水耀宮でも独自の科学は発達していたが、人間が持つ飽くなき探究心と、楽になりたい気持ちは尽きることがない。