硝子の挿話
第2章 刹那
「大丈夫」
何を根拠に言うかと、麻緋が渋い顔をした。
見た目が儚げな愛らしさを持つ美少女だが、中身は竹を割ったような下町タイプだ。
「彼氏の前では多分乙女よ~」
多分というのは、所詮多分でしかないことはあえてつっこまない麻緋。だが科白に反して、その笑顔は千尋から見ても愛らしかった。
真夜は黙って本でも読んでいれば、どこかのお嬢様にも見えるほど綺麗で長い髪に整った容貌をしている。ただ口を開くと、全てが綺麗にぶっ飛んでしまうという注釈はいる。
千尋はまだ寝ぼけながら姉を観察した後に、麻緋を見た。
妹の欲目があったとしても、麻緋は涼しげな美形である。全体的にシャープな感じだ。
「…どうした?」
麻緋が不思議そうに、見上げてくる千尋の頭を撫でた。
「あ、時間じゃないですか?」
壁に掛けられている時計を見て、入れてくれたアイスミルクにストローを差し込むと飲みながら聞いた。
麻緋は頷くと、苦笑して立ち上がり、扉の側に置かれた上着掛けから背広を取り着込んだ。
「行ってくる」
短く告げて二人の妹に微笑みを浮かべると、そのまま振り返らずに玄関のドアを閉めた。
「あたしも出かける準備するから、後頼むな」
手作りクロワッサンサンドを平らげた千尋は、しっかりご馳走さまをするとキッチンに運ぶ。
「はい」
真夜は本当に急いでいるみたいで、時計を気にしながら、エプロンを外す。声を掛けるのに一瞬躊躇したものの、好奇心に勝てずに問う。
何を根拠に言うかと、麻緋が渋い顔をした。
見た目が儚げな愛らしさを持つ美少女だが、中身は竹を割ったような下町タイプだ。
「彼氏の前では多分乙女よ~」
多分というのは、所詮多分でしかないことはあえてつっこまない麻緋。だが科白に反して、その笑顔は千尋から見ても愛らしかった。
真夜は黙って本でも読んでいれば、どこかのお嬢様にも見えるほど綺麗で長い髪に整った容貌をしている。ただ口を開くと、全てが綺麗にぶっ飛んでしまうという注釈はいる。
千尋はまだ寝ぼけながら姉を観察した後に、麻緋を見た。
妹の欲目があったとしても、麻緋は涼しげな美形である。全体的にシャープな感じだ。
「…どうした?」
麻緋が不思議そうに、見上げてくる千尋の頭を撫でた。
「あ、時間じゃないですか?」
壁に掛けられている時計を見て、入れてくれたアイスミルクにストローを差し込むと飲みながら聞いた。
麻緋は頷くと、苦笑して立ち上がり、扉の側に置かれた上着掛けから背広を取り着込んだ。
「行ってくる」
短く告げて二人の妹に微笑みを浮かべると、そのまま振り返らずに玄関のドアを閉めた。
「あたしも出かける準備するから、後頼むな」
手作りクロワッサンサンドを平らげた千尋は、しっかりご馳走さまをするとキッチンに運ぶ。
「はい」
真夜は本当に急いでいるみたいで、時計を気にしながら、エプロンを外す。声を掛けるのに一瞬躊躇したものの、好奇心に勝てずに問う。