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　ユウリヤを見据えていた瞳が、切なそうに揺らぎ伏せられた。
　その奥にある情熱が互いの想い故に理解できたのだろう。
「心配しなくても、俺はあの子にとって『肉親』だから」
　平常心で呟く。南に凄い勢いで変化を繰り返しながら発達していく雲行を眺める。濁り色をつけた積乱雲が広がり、雨を地上に落としだした。
「ティアの秘密は、感情の揺れだけどね…」





　ティアが雨を降らす能力があるのは、この国土の人間全てが知っていると言って過言ではない。しかしそれは感情を揺らすと激的に天候が変化することを知っているのは、ほんの一握りの人間だけだ。

「又…泣いているんだな」

　知らない場所でどれだけ、心を負傷させ、感情を殺し、唇を噛み締めるのだろうか。思うほどにいっそ全てを、捨ててしまえばいいとさえ思ってしまう。
　それはティアを心配する面子であれば、皆が思うことだった。

「…ティアは今のままでは水耀宮から出るのは、遺体として埋葬される時だ」
　両手を握りしめて呟いたサイティアに、ユウリヤは訝しげに眉間をしかめる。