硝子の挿話
第8章 理由
「それ、どういう意味だ?」
ティアには〔予定された〕未来しか、選択の余地など無く、監視されている箱庭の中でしか自由を持たない。そしてそれは、両親が何者かに殺され。水耀宮の前司祭が引き取った時から始まった。
ティアに外界での自由は限りなくなくなったこと。
「お前も今経験しただろ?ティアの命が狙われているんだよ」
サイティアは溜息を零し、上着のボタンを外すと、一気に脱ぎさる。
「昔、まだティアが自由だった頃に守り損ねた罰だ」
背中を見せると、首のつけねから、腰まで斜めにある傷跡。肉が盛り上がり、ひきつっている。細い剣できりつけられた痕。
「…驚かないんだな」
「驚かないさ…」
苦笑するサイティアは、傷跡を隠すように一番上の釦まで締めた。
「話したか?」
「何を?」
「ティアの記憶が一部欠落しているって話。どうして此処に存在するのかって話」
「いや…元騎士団の出身だというのは聞いているが?」
だろうな、そう呟いてサイティアは石に座れと目で促す。
「前司祭に引き取られた前後の記憶は、ティアには過酷過ぎてないんだ」
話し出す。冗談や、間に合わせなんかで付き合っていい相手ではない。ティアの側にいるということは、それだけ命に関して危険であると教えなければならない。
ティアには〔予定された〕未来しか、選択の余地など無く、監視されている箱庭の中でしか自由を持たない。そしてそれは、両親が何者かに殺され。水耀宮の前司祭が引き取った時から始まった。
ティアに外界での自由は限りなくなくなったこと。
「お前も今経験しただろ?ティアの命が狙われているんだよ」
サイティアは溜息を零し、上着のボタンを外すと、一気に脱ぎさる。
「昔、まだティアが自由だった頃に守り損ねた罰だ」
背中を見せると、首のつけねから、腰まで斜めにある傷跡。肉が盛り上がり、ひきつっている。細い剣できりつけられた痕。
「…驚かないんだな」
「驚かないさ…」
苦笑するサイティアは、傷跡を隠すように一番上の釦まで締めた。
「話したか?」
「何を?」
「ティアの記憶が一部欠落しているって話。どうして此処に存在するのかって話」
「いや…元騎士団の出身だというのは聞いているが?」
だろうな、そう呟いてサイティアは石に座れと目で促す。
「前司祭に引き取られた前後の記憶は、ティアには過酷過ぎてないんだ」
話し出す。冗談や、間に合わせなんかで付き合っていい相手ではない。ティアの側にいるということは、それだけ命に関して危険であると教えなければならない。