硝子の挿話
第9章 滄海
海に落雷したら、感電して死んでしまう。避雷針が常時装備された雷の通り道なのだ。この場所は昔から落雷が多い。
全力で抱きしめるとティアはにぱっと、先ほどまでの表情から一転させていた。
コロコロと本当に石でも転がるぐらいの速さで、機嫌を変えていく従姉妹の姿はサイティアにとって十分な刺激だった。
空は一転して雨雲が散り始め、隙間から陽光が鋭く海上に差していた。
「そろそろキュルたちが来ると思うのね、…一緒に行こう!」
サイティアの返事を待たず、ティアは手を繋ぐと、ずんずんと海水に入っていく。腰ぐらいになると器用に立ち泳ぎをしていた。
「…器用だな」
「そうかなぁ?ティアは小さいから早くサイ兄さまぐらい大きくなりたいなぁ…そしたら泳がなくても、キュルに会えるもの!」
水面を乱反射する光が、ティアの笑顔に似合っている。サイティアは小さく笑うと、ティアの後ろへ回った。
「これで少しぐらい楽?」
腰に手を回して、少しばかり屈むと浮き輪みたいになる。ティアは急に全身が浮上したことで、楽しかったのか―――もう一度を繰り返し。気がつくと、腕がつりそうになるぐらいまで同じ動作を繰り返していた。
「ありがとうなのね!」
キュルの一団が、ティアを迎えに来た。本当にそう見える光景があって、サイティアは一抹の不安に胸を締め付けられた。
「誰も見てないように…」
全力で抱きしめるとティアはにぱっと、先ほどまでの表情から一転させていた。
コロコロと本当に石でも転がるぐらいの速さで、機嫌を変えていく従姉妹の姿はサイティアにとって十分な刺激だった。
空は一転して雨雲が散り始め、隙間から陽光が鋭く海上に差していた。
「そろそろキュルたちが来ると思うのね、…一緒に行こう!」
サイティアの返事を待たず、ティアは手を繋ぐと、ずんずんと海水に入っていく。腰ぐらいになると器用に立ち泳ぎをしていた。
「…器用だな」
「そうかなぁ?ティアは小さいから早くサイ兄さまぐらい大きくなりたいなぁ…そしたら泳がなくても、キュルに会えるもの!」
水面を乱反射する光が、ティアの笑顔に似合っている。サイティアは小さく笑うと、ティアの後ろへ回った。
「これで少しぐらい楽?」
腰に手を回して、少しばかり屈むと浮き輪みたいになる。ティアは急に全身が浮上したことで、楽しかったのか―――もう一度を繰り返し。気がつくと、腕がつりそうになるぐらいまで同じ動作を繰り返していた。
「ありがとうなのね!」
キュルの一団が、ティアを迎えに来た。本当にそう見える光景があって、サイティアは一抹の不安に胸を締め付けられた。
「誰も見てないように…」