硝子の挿話
第9章 滄海
「………それって」
「うん!きっと楽しいよ!」
意味自体はよく分かっていないらしい。ティアは年齢的にも精神的にも同じ年頃の子供よりも、純粋なのだと思う。来年には騎士団寄宿舎への在籍を求められる頃だが、純粋さは幼さとして映ってしまう。
それにこの能力でどうなるかも分からないというのが正直な意見だ。
サイティアも本来であれば、とうに寄宿舎に在籍せねばならなかったのだが、身体が弱いことを理由に、在宅勉強をしている。ティアの両親も仕事で家を空けがちな上に、幼馴染も学校へと通いだしたことで、ティアが寂しくないようにと自ら望んだ。
家庭教師にはタルマーノの兄がしてくれている。週に四日、三時間ずつ、基礎知識から色々と教わっていた。
「皆で一緒居るの、ティアは大好き!」
仕事という理由で両親が出かけているのは、ティアなりに理解しているらしく―――そういえば、一度も泣いて両親の足を止めたことはなかった。
「寂しい…?」
「寂しいよ?だって朝早くに出てしまう時なんて、ティアは『おはよう』も言えないのね…でもサイ兄さまが側に居てくれるからいいんだ~」
振り返ると、照れた表情で笑いかける。だから寂しくても我慢は出来るのだと。
「愛されているんだって、…なんとなく分かるの」
難しい言葉を使ったと、逆に悩むみたいに苦笑するティア。そっと両手の腕で抱き寄せていた。
「うん!きっと楽しいよ!」
意味自体はよく分かっていないらしい。ティアは年齢的にも精神的にも同じ年頃の子供よりも、純粋なのだと思う。来年には騎士団寄宿舎への在籍を求められる頃だが、純粋さは幼さとして映ってしまう。
それにこの能力でどうなるかも分からないというのが正直な意見だ。
サイティアも本来であれば、とうに寄宿舎に在籍せねばならなかったのだが、身体が弱いことを理由に、在宅勉強をしている。ティアの両親も仕事で家を空けがちな上に、幼馴染も学校へと通いだしたことで、ティアが寂しくないようにと自ら望んだ。
家庭教師にはタルマーノの兄がしてくれている。週に四日、三時間ずつ、基礎知識から色々と教わっていた。
「皆で一緒居るの、ティアは大好き!」
仕事という理由で両親が出かけているのは、ティアなりに理解しているらしく―――そういえば、一度も泣いて両親の足を止めたことはなかった。
「寂しい…?」
「寂しいよ?だって朝早くに出てしまう時なんて、ティアは『おはよう』も言えないのね…でもサイ兄さまが側に居てくれるからいいんだ~」
振り返ると、照れた表情で笑いかける。だから寂しくても我慢は出来るのだと。
「愛されているんだって、…なんとなく分かるの」
難しい言葉を使ったと、逆に悩むみたいに苦笑するティア。そっと両手の腕で抱き寄せていた。