
硝子の挿話
第10章 交錯
「何だ?」
「お前は、それでいいのか?大事に大事に守っていたオンナを、俺に預けられるのか?」
サイティアがユウリヤに向けた眼差しは、『肉親』という枠に収まるとは到底思えない。ずっと深く、そして暗い想いが渦を巻いているように見える。
今、こうして二人で向かい合っているのは、事実を確認し受け入れる為でもあるのだとユウリヤは思っていた。
「答えろ…」
固い声。
自分でも意識していないほど、渇いた喉から出された言葉。
サイティアは苦笑をただ浮かべているが、それは諦めという色にとても近い気がした。
「俺はあの子から肉親を奪う訳にはいかない。…元々、告げるつもりもない」
この道を選んだときに、そういう感情の全ては奈落に沈めたと、サイティアは細い声で続けた。
「何故、沈める必要があるんだ?」
疑惑は全て払拭してしまいたい。ユウリヤは腰を据えるのがサイティアにも通じたのか、真正面で座り込んだ。
「俺を恋人とティアが望むなら答えたさ…だが求めたのは、俺でもタルマーノでもなく―――貴様だった、それだけの話だ」
ちろちろと見える暗い炎は、嫉妬だと告げている。理性で全てをねじ伏せても消えた訳ではない。
「ティアの家族でいるのか?」
「―――そうだ」
「お前は、それでいいのか?大事に大事に守っていたオンナを、俺に預けられるのか?」
サイティアがユウリヤに向けた眼差しは、『肉親』という枠に収まるとは到底思えない。ずっと深く、そして暗い想いが渦を巻いているように見える。
今、こうして二人で向かい合っているのは、事実を確認し受け入れる為でもあるのだとユウリヤは思っていた。
「答えろ…」
固い声。
自分でも意識していないほど、渇いた喉から出された言葉。
サイティアは苦笑をただ浮かべているが、それは諦めという色にとても近い気がした。
「俺はあの子から肉親を奪う訳にはいかない。…元々、告げるつもりもない」
この道を選んだときに、そういう感情の全ては奈落に沈めたと、サイティアは細い声で続けた。
「何故、沈める必要があるんだ?」
疑惑は全て払拭してしまいたい。ユウリヤは腰を据えるのがサイティアにも通じたのか、真正面で座り込んだ。
「俺を恋人とティアが望むなら答えたさ…だが求めたのは、俺でもタルマーノでもなく―――貴様だった、それだけの話だ」
ちろちろと見える暗い炎は、嫉妬だと告げている。理性で全てをねじ伏せても消えた訳ではない。
「ティアの家族でいるのか?」
「―――そうだ」
