硝子の挿話
第12章 眷恋
「嬉しい…」
この街はティアが直接関わっている土地ではない為に、水耀宮に入ってから、『姫神子』として以外、来ることを赦されなかった。
広がる世界は何もかもが新鮮だ。街で働く人々の楽しそうな笑い声や道行く人々の喧騒が愛しい。
「私…間違えてない…」
そう祈りの間で呟いても、その実感が無いのに、仲間である筈の彼らが吐き出す悪意は弾劾(だんがい)的にティアを責めた。
此処を管轄しているのは前司祭の血縁者だ。
名指しだったと聞いている。ティアは一度も会ったことがないが、街の小さな祠堂に住み直接民と交流を持つ風変わりな神官なのは知っていた。
前司祭が亡くなった時に、手紙を送ったら返事が来て―――それから文面だけのやり取りを続けているからだ。
ティアには街を管轄する権利はないし、初心者が出来ることでもないと思い。本当に僅かなのだが、税の軽減を試して欲しいと送った手紙にただ一言『是』と返って来た。
この街はティアが直接関わっている土地ではない為に、水耀宮に入ってから、『姫神子』として以外、来ることを赦されなかった。
広がる世界は何もかもが新鮮だ。街で働く人々の楽しそうな笑い声や道行く人々の喧騒が愛しい。
「私…間違えてない…」
そう祈りの間で呟いても、その実感が無いのに、仲間である筈の彼らが吐き出す悪意は弾劾(だんがい)的にティアを責めた。
此処を管轄しているのは前司祭の血縁者だ。
名指しだったと聞いている。ティアは一度も会ったことがないが、街の小さな祠堂に住み直接民と交流を持つ風変わりな神官なのは知っていた。
前司祭が亡くなった時に、手紙を送ったら返事が来て―――それから文面だけのやり取りを続けているからだ。
ティアには街を管轄する権利はないし、初心者が出来ることでもないと思い。本当に僅かなのだが、税の軽減を試して欲しいと送った手紙にただ一言『是』と返って来た。