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硝子の挿話

第13章 約束

「ありがとう!」

 子供が身につけるお守りとして、この辺りで伝わっている品だと店員は言った。
 価格も他のものよりも随分と安い。普段逢瀬を重ねる場所に訪れるティアの装束は、貴石がふんだんに使用され素人が見ても分かる高級を身につけている。
「本当にこんなのでいいのか?」
 思わず不安になって問いかけたユウリヤに、ティアは不思議そうに小首を傾げた。
「こんなのって?」
「その首飾り…他にも石榴やら藍青(らんせい)鋼玉とかあるのに?」
 指差して問いかけると、ティアはようやっと理解したのか。
 緩く首を左右に振った。
「私はこれが欲しかった…小さな子供の頃、私もこれを持っていたのですよ」

 いつも首に掛けていた。

 サイティアもタルマーノも同じものをぶら下げていた。
 走ると風の流れる方向へ木の実同士がぶつかり合って、可愛らしい音がしてお気に入りだった。
 母が二人に一生懸命作ったのを贈ってくれた。なのでサイティアは二つ持っている。
「いつ無くしたのか分からないのですけれど…自分でも作ろうかとも思って、でも出来なくて………止めた想い出の品」
 サイティアが語った過去を思い出し、ユウリヤは思うことがあったが黙り込んだ。
「けれどユウリヤに買ってもらったので、また持つことが出来ます!とても嬉しい」



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