硝子の挿話
第13章 約束
「サイバス神官様は居られますか?」
息を一気に吐き出すみたいに呼びかけると、暗い扉の先が開く。ユウリヤやサイティアよりも年上の青年が顔を出した。
「私だが?初めて見る顔だな…」
きびきびとした動きに無駄はない。まっすぐに伸びた背中。背丈はティアよりも少し高いぐらいだ。
「は、はじめまして!リリティアです…!」
威風堂々というか、ゆったりした仕草は、微妙な威圧感があって、ティアの声は固く掠れてしまう。しかしサイバスはその名前に目を皿にして、ティアへと近づいてきた。
「姫神子!」
サイバス自身はティアの顔を知っているらしく、光が届き互いの顔がはっきり見えてくると訝しげに寄せられていた眉が下がった。
「何のご連絡もせずにお尋ねした非礼をお許し下さい…」
「いや、水耀宮大神殿内では私は嫌われているから………それよりも、お一人で来られたのか?」
無茶をする。非難する訳ではなく、寧ろ心配そうに言って無事を確かめるように全身を眺めて笑った。
厳しい表情が緩むと、やはり祖父である前司祭にとても似ている。ティアは安堵したように肩に入っていた無意識の力を抜いた。
息を一気に吐き出すみたいに呼びかけると、暗い扉の先が開く。ユウリヤやサイティアよりも年上の青年が顔を出した。
「私だが?初めて見る顔だな…」
きびきびとした動きに無駄はない。まっすぐに伸びた背中。背丈はティアよりも少し高いぐらいだ。
「は、はじめまして!リリティアです…!」
威風堂々というか、ゆったりした仕草は、微妙な威圧感があって、ティアの声は固く掠れてしまう。しかしサイバスはその名前に目を皿にして、ティアへと近づいてきた。
「姫神子!」
サイバス自身はティアの顔を知っているらしく、光が届き互いの顔がはっきり見えてくると訝しげに寄せられていた眉が下がった。
「何のご連絡もせずにお尋ねした非礼をお許し下さい…」
「いや、水耀宮大神殿内では私は嫌われているから………それよりも、お一人で来られたのか?」
無茶をする。非難する訳ではなく、寧ろ心配そうに言って無事を確かめるように全身を眺めて笑った。
厳しい表情が緩むと、やはり祖父である前司祭にとても似ている。ティアは安堵したように肩に入っていた無意識の力を抜いた。