硝子の挿話
第13章 約束
「私に『様』必要ないと思われます。どうぞ『サイバス』とそのままお呼び下さい」
誓約までした相手だ。サイバスは口ごもりかけたティアを諭す。どういう理由にしろ、目下に『様』は、逆に威厳を損なってしまう。ハクレイも最初は幾度も拒否をしていたが、苦笑して受け流してくれていただけだと、今日になってティアは初めて理解した。
「気をつけます…」
「是非に、敵が多いと分かっているのなら威厳は失ってはならないものです。優しさと威厳は別世界の二つですから」
苦笑していうサイバスの言葉も、ティアは理解できるので恥かしそうに俯いた。
「慣れなくてはなりませんね…サイ、…バス」
「ええ、軽く言えるように今練習を重ねられますか?」
目的は既に果たしたとサイバスは見ていた。
外からは変わらずユウリヤが奏で紡ぐ音が聞こえてくる。
この曲は四季が存在する月空宮で作られた。
組み繋ぐ『四季』の一章であり、序章の『春和』だ。全部で四章からなるこの曲は、同時に『喜・怒・哀・楽』を現した曲としても解釈されているらしい。
ユウリヤが話してくれた。
「いい音を出すようになった…」
ぽつりと呟かれた言葉。ユウリヤはこの街で、この場所で音を紡いでいたようだ。
誓約までした相手だ。サイバスは口ごもりかけたティアを諭す。どういう理由にしろ、目下に『様』は、逆に威厳を損なってしまう。ハクレイも最初は幾度も拒否をしていたが、苦笑して受け流してくれていただけだと、今日になってティアは初めて理解した。
「気をつけます…」
「是非に、敵が多いと分かっているのなら威厳は失ってはならないものです。優しさと威厳は別世界の二つですから」
苦笑していうサイバスの言葉も、ティアは理解できるので恥かしそうに俯いた。
「慣れなくてはなりませんね…サイ、…バス」
「ええ、軽く言えるように今練習を重ねられますか?」
目的は既に果たしたとサイバスは見ていた。
外からは変わらずユウリヤが奏で紡ぐ音が聞こえてくる。
この曲は四季が存在する月空宮で作られた。
組み繋ぐ『四季』の一章であり、序章の『春和』だ。全部で四章からなるこの曲は、同時に『喜・怒・哀・楽』を現した曲としても解釈されているらしい。
ユウリヤが話してくれた。
「いい音を出すようになった…」
ぽつりと呟かれた言葉。ユウリヤはこの街で、この場所で音を紡いでいたようだ。