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硝子の挿話

第14章 明言

「数人、書類が提出されておりません―――理由を此処で、明確にお話下さい」

 今までは一人ずつ、評議の後にしていたことだったが。それは時間の無駄ではないかと、随分前にサイバスに指摘された。
「評議とは関係ないのでは?」
 呆れたと言いたげに、神官の一人が言う。即座に便乗する者もいれば、言葉にしない不満をありありと表情に見せている者。改めて上段から見ると、今まで同じ顔にしか見えていなかった顔に、違いがあるのをティアは気がついた。

《私が、最初に投げ出してしまっていたのですね…》

 視線が怖くて、今まで見れなかった。
 今まで無駄に流れた時間の半分は自分の責任だと、改めて気を引き締める。反省も全て後に回して今日に挑むと誓った。
 欲しい人材を今、此処で見極めるのが一番大切だ。脇でヒリッシュが板を持って控えていた。
「関係あるから問いかけております」
 毎日鏡に向かって勉強した『笑み』を浮かべた。
 水面下でティアが動き出したことを、数人の神官は知っているはずである。だからこそ食い止める力として、最後の抵抗を先ほどしていたのではないか。
「皆様方や私は為政者でもある自覚を、もっと重く受け止めてもいいではないでしょうか?」
「それは我らが軽くみていると思っての発言であられるか?姫神子」





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