硝子の挿話
第14章 明言
「ぅえっ!?」
驚いて真っ赤なまま顔を上げると、即座にハクレイがセツレイの後頭部を叩(はた)いた。
「ごめんなさい、この王様は綺麗な女性を見ると、直ぐに口説く癖があって………」
「いえ、それは別に…構わないのですが…」
必死に両手を振るのが、あどけなくセツレイの瞳には映った。
「女性はね、どんな瞬間も花開く時は美しいんです。いいじゃないですか?」
「王様のは社交辞令に聞こえないんだって」
額を押さえて溜息をついているハクレイと、笑い飛ばしているセツレイを見比べる。相当長くの付き合いと思われる。柔和な空気が辺りに広がっていた。
こんな風に王都と神殿が繋がることが出来たら、どれだけいいだろうと思うのだが、それだけは難しい。同じ神殿内でも出来ないことが、もしも叶うならそれは桃源郷の物語。―――目指したい未来。
「あ、遅れてしまったのですが、果物本当にありがとうございます」
ティアはまだ食べていないが、とても甘そうな香りが、鼻腔を擽っていた。
「なんの。あれは太陽宮へ供物と同じ一級品で、甘くて栄養があるんですよ」
「太陽宮に、ですか?」
「ええ、そこの大司祭なさっているルキア様が、とても好んで下さっているんですよ」
けらけらと笑う。明るくて朗らかな人柄。揺るがない視線は強く優しい。きっととても愛されている王だとティアは思う。
また身長も高く、優美な仕草は女性を引き寄せるのだろうと、なんとなく感じた。
驚いて真っ赤なまま顔を上げると、即座にハクレイがセツレイの後頭部を叩(はた)いた。
「ごめんなさい、この王様は綺麗な女性を見ると、直ぐに口説く癖があって………」
「いえ、それは別に…構わないのですが…」
必死に両手を振るのが、あどけなくセツレイの瞳には映った。
「女性はね、どんな瞬間も花開く時は美しいんです。いいじゃないですか?」
「王様のは社交辞令に聞こえないんだって」
額を押さえて溜息をついているハクレイと、笑い飛ばしているセツレイを見比べる。相当長くの付き合いと思われる。柔和な空気が辺りに広がっていた。
こんな風に王都と神殿が繋がることが出来たら、どれだけいいだろうと思うのだが、それだけは難しい。同じ神殿内でも出来ないことが、もしも叶うならそれは桃源郷の物語。―――目指したい未来。
「あ、遅れてしまったのですが、果物本当にありがとうございます」
ティアはまだ食べていないが、とても甘そうな香りが、鼻腔を擽っていた。
「なんの。あれは太陽宮へ供物と同じ一級品で、甘くて栄養があるんですよ」
「太陽宮に、ですか?」
「ええ、そこの大司祭なさっているルキア様が、とても好んで下さっているんですよ」
けらけらと笑う。明るくて朗らかな人柄。揺るがない視線は強く優しい。きっととても愛されている王だとティアは思う。
また身長も高く、優美な仕草は女性を引き寄せるのだろうと、なんとなく感じた。